脂肪による肥満には、おなかぽっこりの「リンゴ型肥満」と、下半身どっしりの「洋ナシ型肥満」があります。「洋ナシ型」は皮下脂肪型肥満、「リンゴ型」は内臓脂肪型肥満といわれています。また「リンゴ型肥満」は手足は細く、一見肥満体にはみられない場合がありますので、腹囲を測ってみないとわからないことがあります。
もしあなたが「リンゴ型肥満」なら、小腸や肝臓などの内臓の周りに脂肪が溜まっている可能性があり、メタボリックシンドロームに注意しなければいけません。
上の左右の写真(図)は、おへそのレベルでの腹部単純CT像です。黄色の部分は皮下脂肪で、赤色の部分は内臓脂肪を表しています。左の図は「皮下脂肪蓄積型肥満者」で、右の図がいわゆるメタボリックシンドロームの「内臓脂肪蓄積型肥満者」です。
メタボリックシンドロームの場合、右の図の様に皮下脂肪の蓄積は少なく内臓中心に脂肪が蓄積しています。腹囲測定で男性が85㎝以上、女性90㎝以上の場合は右の図の様に(内臓脂肪が100㎝²以上)になっている可能性が大きいと言えます。皆さんこの図の様にならないようにしましょう。
福岡大学医学部 内科臨床教授 医学博士
上村精一郎
内臓脂肪型肥満の診断基準は「腹囲」
⚠男性85㎝以上、女性90㎝以上なら要注意
「腹囲」が基準値を越え、以下の項目のうち、2つ以上が当てはまれば、メタボリックシンドローム
内臓脂肪型肥満をほうっておけば、生活習慣病である高血圧症、脂質異常症、糖尿病、肥満症になってしまいます。とくにこれらの病気には、はっきりとした自覚症状が無いので、油断し積極的に治療しないことが多く見受けられます。
その間に、生活習慣病はいつの間にか進行し、血管障害である動脈硬化などを引き起こします。
そしてその血管障害は、神経障害・網膜症・腎障害や、いきなり症状の現れる心筋梗塞・脳梗塞を起こしかねないのです。
脳梗塞や心筋梗塞は突然命に関わることが多い病気です。たとえ一命を取りとめたとしても、その後遺症は深刻な状態になることが多く見受けられます。
特に働き盛りの方がそのような状況に陥ると、ご家族の方の精神的・経済的な負担は、計り知れないものとなってしまうのです。
生活習慣病の予防には、栄養・運動・喫煙、飲酒についての毎日の正しい生活習慣を身につける必要があります。
またひとたび、病気にかかってしまった方でも生活習慣を改めることで進行を遅くし、症状を軽くすることができるようになります。